ブランディングデザイン

企業にはブランディングデザインが必要である

ブランディングの設計

ブランディングの目的と役割

事業において、ブランディングを推進していくには一定のコストが必要になります。しかし、計画したブランディングが事業の課題解決に生かされないのであれば、そのプロジェクトはいずれ頓挫してしまいます。社内でブランディングが必要だと感じていても、予算を獲得するためには、経営者や管理職への説得が必要です。

的確な経営課題を設定し、その課題解決に取り組むものでなければ、会社からプロジェクトへの投資を得ることはできません。当たり前に聞こえるかもしれませんが、それだけ課題を解決するということは、誰もができるという簡単な話ではないのです。

繰り返しになりますが、ブランディングを行うことが重要なのではなく、課題とどう向き合い、事業をどのように発展させるかが大事なのであり、ブランディングは課題解決のために活用されるということを、まずはここで共有します。

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ブランディング

ブランディングデザイン

さて、ブランディング実施の狙い、ーどんな課題を解決するかー、の重要性が理解いただけましたか?ここからは、事業戦略とブランド戦略の関係性についてお話します。あなたのその取組は、事業戦略ありきのブランド戦略でしょうか?または、ブランド戦略ありきの事業戦略でしょうか?そのいずれかによって次の行動が異なります。つまり、事業戦略とブランド戦略の関係性をどのように捉えるかによって、事業の中におけるブランディングにどんな機能をもたせるかが異なってくるのです。

次にブランディングの役割についてお話します。現在の市場におけるポジションにおいて、さらに強化するためなのか、それともポジションそのものを変える(リポジショニング)のかによって取り組み内容が異なってきます。

現在のポジションを強化するブランディングであれば、既存・新規に関わらず事業戦略を既存顧客に落とし込むという戦略に力点が置かれますが、ポジションそのものを変えるということであれば、自ずとターゲット顧客が変わり、全社をその方向に向けるために舵を切ることがブランディングの目標になります。大事なことは、ブランディングが解決するという前に、どのように事業戦略とブランド戦略が関係しあっているかを確認しなければなりません。

4つのブランディングへの挑戦

ブランディングを因数分解すると、4つのパターンに区分できます。この4つのパターンについて、事例を参照しながら、解説を進めていきます。

ブランド戦略と事業戦略

1、事業戦略を顧客体験に落とし込むという挑戦

このケースは体験を重要視しているあらゆる企業が参考になるのではないでしょうか。代表的な事例としては、スターバックスや無印良品が挙げられます。商品、サービス、接客、コミュニケーションなどあらゆる事業活動を通じて、顧客にブランドを浸透させようという取り組みです。当社では、中小企業が主なクライアントになりますが、この事業戦略を顧客体験に落とし込む手法はブランド構築のために一貫性をもたせることが求められます。経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略の3つのレベルの全てにおいて、ぶれない軸が求められます。

2、狙う顧客を変えるという挑戦

このケースの事例では、ワークマンを取り上げたいと思います。ワークマンは成長著しい企業として大変注目をされていますが、もともと建築現場などの作業着などの衣料品を製造販売していましたが、昨今はワークマン+(プラス)という新たなブランドを立ち上げ、登山や街着用としてブランドを展開しています。今まで培ってきた丈夫な衣料品を作るノウハウを生かして、新たな顧客層を取り込むことに成功しました。企業それぞれには、異なった資源が存在します。その資源をどのように活かせば、新たな顧客の開発が可能となるか、この挑戦こそがリブランディングの肝となります。

3、市場を変えるという挑戦

このケースでは、虎屋についてお伝えします。虎屋は言わずとしれた和菓子の名店です。創業約500年であり、日本が誇る老舗ブランドの1つです。もともとは京都で創業し、御所御用を勤めていました。明治2年(1869)東京遷都の折、京都に留まるか、天皇にお供して新天地・東京へ進出するかを迫られ、12代店主・黒川光正は赤坂に移転することを決断しました。その後、1923年の関東大震災で、15代・黒川武雄は受注販売のスタイルから、ダイレクトメールによって得意先を開拓していきました。このように、時代や社会構造の変化、または競合他社の台頭などによって、新たな市場の開拓が必要になることがあります。そこで、従来のブランドを生かし、既存のポジショニングを変えることでさらなる事業の成長を目指すことができます。

4、ブランド戦略の深堀りを行うという挑戦

この挑戦では、ブランドがすでに確立しており、その分野でさらに深堀りを行うことで、結果として事業の幅が広がることを目指します。昨今では、アウトドアブランドのスノーピークの取り組みが興味深い事例です。スノーピークはミッションとして、「人間性の回復」を謳っています。そのため、キャンプ好きだけではなく、広く一般の人々にも自然とのふれあいを実現できる社会を作ろうとしています。「人生に、野遊びを。」というコーポレートメッセージを掲げ、アパレル事業や地方創生事業、グランピング事業を立ち上げています。

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ブランド体系/ブランド展開/ブランドエクステンション

ブランド体系を整理する

ブランディングに取り組む際、それぞれのブランドの区分をわかりやすく整理するブランド体系というものがあります。対象のブランドが、どのレイヤー(階層)に位置するものかを明確にする作業です。

アップル_ブランド体系

例えば、Appleであれば、コーポレートブランドとしてのアップル、事業ブランドとしてのMAC、iPad、iPhone、Apple watch、AirPods、iTunesなどがあります。そして、プロダクトブランドとして、iPhoneSE、iPhone12、iPhone12、iPhone13、iPhone13 proなどがあります。あなたのブランドが、グループ全体のブランドなのか、コーポーレートブランドなのか、事業ブランドなのか、プロダクトブランドなのか、その他なのか、ブランド体系として明確に位置付けをすることは、複数ブランドを保有している企業にとっては、必須の取り組みになります。

日本の企業では、LINE株式会社のように会社名がブランド名になっているケースもあれば、一方で、製品ブランド名が製造番号になっていたりする場合もあれば、本当にまちまちです。何をブランドに育てていくかによって、取り組むプロジェクトの内容は全く変わってきます。

大切なことは、企業活動を正確に伝えることが「重要ではない」ということです。大切なことは、ブランドをステークホルダーにどのようにイメージさせるかということです。どう伝えて、どう見せることができれば、そのイメージが企業の狙いどおりになるかを戦略的に考え、意図した知覚をステークホルダーの意識に形成させられるか。その器になるものがブランドなのです。

ステークホルダーに狙い通りのブランド知覚を

ブランディングにおいて、企業のミッション・ビジョン・バリューやブランドプロミスなどの中核的な概念は、事業活動におけるさまざまな顧客とのタッチポイントを通じて表現されます。これらの活動を通じて、ステークホルダーにブランドイメージが蓄積されていくのですが、その蓄積したものにアクセスしやすくスイッチの機能となるものがロゴマーク、ネーミングやブランド体系です。

例えば、アップルコンピュータと聞いて思い出されるのは、開放的な空間とプロフェッショナルな接客スタッフたち、そして、スティーブ・ジョブズやデザイン性、iPhoneなど次々とイメージできるのではないでしょうか。つまり、アップルコンピューターというブランドは、私たちがこのように簡単にイメージできるように仕組みがしっかりとできているということです。それは、ロゴマークや製品を見たときに、過去に体験してきた知覚が自動的に頭や感情のなかに想起されます。大なり小なり、このような反応が必ず誰にでも起こりうるので、企業はブランドのロゴマークやネーミングを戦略的にデザインしていく必要があるのです。

ブランド体系の基本的種類

①マスターブランド体系(ブランド・アンブレラ体系)

単一の事業を行う企業に多く見られるブランド体系です。その例として、ブランド認知の対象として、企業ブランドの知名度が高い企業に見られます。例えば、メルセデス・ベンツは、Aクラスとか、Gクラスなど、ブランディングの投資をマスターブランドに集中させることが出来ます。その結果、顧客にとってブランドは、企業の名称となっており、商品名にもなっているブランド体系です。

②個別ブランド体系(マルチブランド体系)

コーポレートブランドの存在感を表に出さずに、事業ブランド、プロダクトブランドやサービスブランドを個別に確立したブランドにする戦略です。この個別ブランド体系を再登している会社といえば、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が挙げられます。アリエールやボールドなどのファブリックケア、ブラウンやジレットのグルーミング、パンテーンやヴィダルサスーンなどのヘアケア、SK-Ⅱといったスキンケアまで幅広いラインナップがあります。この個別ブランド体系は、事業ポートフォリオを運用している企業に多く採用されています。

③サブブランド体系(複合ブランド体系)

日本では、サブブランド戦略を採用する企業は多いと言われており、任天堂、サントリー、ソニー、パナソニックなどが挙げられます。強みを持ったマスターブランド化したブランドを表に出して、サブブランドを展開していく手法になります。知名度の高い、マスターブランドからのアシストを受けて、サブブランドの知名度が挙げられるというメリットがあります。これは、そもそものマスターブランドの知名度が高くなければならないという前提条件は欠かせません。また、サブブランドが良い働きをしてくれることによってマスターブランドへの貢献もしてくれることになります。

ここで事例を詳しく考えてみたいと思います。パナソニックで言えば、レッツノート、ビエラ、ルミックスなどが該当し、ソニーで言えば、プレイステーション、ブラビア、ウォークマンがそれにあたります。このように、パナソニックやソニーブランドのアシストから始まったそれぞれのサブブランドですが、今となっては、サブブランドだけでも知名度が高く、同時にマスターブランドの支援を行うことに成功しています。

ブランド体系についてまとめると、それぞれの体系の優劣をここで論じることに意味はなく、各企業ごとの経営資源によって最適なものを選択することが大切であると考えます。中小企業の支援を行っていると、たくさんのブランドを立ち上げている飲食店が直面している課題として、店舗ブランドがばらばらで企業ブランドが認知されていないため、採用活動に苦労しているという相談を受けたことがあります。このように、それぞれの立場と時期によって課題も変わってきますので、何が正解ということではありません。しかし、ブランドを拡張していく際には、ぜひ経営戦略とともに深く考えるようにしてください。

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ブランド体系を正しく活用するメリット

自社のブランド体系を正しく理解し運用することにより、事業活動に対して以下のメリットが挙げられます。

①ブランドのビジョン/目指す姿が明確になる

ブランド体系が正しく運営できることにより、ブランドのビジョン/目指す姿を明確に示すことができます。それは、ブランドの意図をブランド体系に結びつけることにより、ブランドの姿勢や考え方が顧客に伝わり、結果として自社の強みが際立ち、他社よりも優位な事業展開が出来ます。

②顧客の知覚品質をマネジメントできる

ブランドは顧客の頭の中に印象として存在します。そのため、企業が期待するようなブランドは構築されないという現状があります。そこで、ブランド体系を正しく整理しておくと、ブランドの意図というものを顧客に連想させる役割をもたせることが出来ます。それは、顧客の好みによってブランドが出来上がるというのではなく、企業にとって好ましい印象を醸成させやすくします。

③コミュニケーション戦略が効率的になる

多くの企業が課題を感じるコミュニケーション戦略。ブランド体系を正しく活用することで、顧客の中に一貫したイメージをもたせることができ、コミュニケーション戦略を効率的に行うことが出来ます。そのためにブランド体系を確立させるため、当然のことと言えば当然のことなのですが、ただでさえコミュニケーションは難しいと感じる企業が多いため、ブランド体系を一旦構築できれば、企業にとってのベネフィットを生みやすくなります。

④ブランド管理コストを低減させる

ブランドは構築し始めた途端に、壊れ始めます。ブランド体系においても、適切なマネジメントの仕組みが必要であり、そうでなければ、想定外のコストが膨れ上がってしまいます。そのため、大枠となるブランド体系が適切にマネジメントされることで、それらのリスクを抑えることができます。

ブランディングを行うためには、ステークホルダーの中に蓄積するブランドイメージを適切にハンドリンクし、企業が目指すブランドアイデンティティを実感してもらわなければなりません。ブランド体系は、その役割から、企業は様々なことを定義づけることが必須になります。その結果、企業は戦略的かつ意図的にブランドアイデンティティをステークホルダーと共有できるのです。ブランド体系が整理できない場合は、ハイブリッドというスタイルも考えられますが、ブランド体系に当てはめる活動そのものもブランディングの第一歩になると言えます。

いかがだったでしょうか?ブランディングを進めるにあたり、ブランディングの設計とその体系が戦略の幹になることをご理解いただけましたでしょうか。ブランディングにすぐに取り組みたいという企業は非常に多いのですが、すぐに何かクリエイティブを始めるというのではなく、まずは現状の資源や状況の整理、そこから大枠(今回であれば、設計と体系の整理)を決めていくことから始めてみましょう。非常に頭を使う作業です。しかし、幹がブレると枝葉は混乱してしまいます。今回は以上になりますが、ぜひじっくりと腰を据えて取り組んでみてください。

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ブランディングの事例集
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