リブランディング

リブランディングとは

このページではあなたが必要としているリブランディングについてまとめて解説していきます。どのような会社においてもブランドが強く確立されたからと言って、長期的にブランドが維持できるとは限りません。「最も強いものが生き残るのではなく、変化に対応できるものが生き残る」というのは、ダーウィンの言葉です。

あらゆる市場において、予期せぬ事態が起こり、予期せぬ競合他社が現れ、予期せぬ不祥事が発覚するなど、ブランドがこれらの影響を100%免れるということなど有りえません。ここでは、ブランドの再生を目指している方々のために、リブランディングについて解説していきます。

リブランディングとは、ロゴを変更したりデザインを変更したりするだけの見た目の問題では有りません。結果としてそのようなコミュニケーションツールに影響を及ぼすものではありますが、今回はそのような枝葉だけのお話ではなく、読み進めていくうちに、リブランディングについて、手法、事例などを解説していきたいと思います。

INDEX

リブランディングとは?リブランディングの意味を定義する

リブランディングとは1:リブランディングの目的

リブランディングをなぜ行う必要があるかという問いに対して、最も最適な答えとは「利益の最大化」といえます。リブランディングは見た目の問題ではないという理由がこの点にあり、事業の強化につながるものでなければ取り組む価値はありません。見た目、つまりコミュニケーションを強化するということは、企業の利益の最大化の手段であるということをぜひご認識いただきたいと思います。

世の中のリブランディングに関心のある企業は、もしかしたら自社ブランドと時流のギャップを感じているかも知れません。しかし大切なことは、ブランドが強化できていない何かしらの原因があることを忘れてはいけません。繰り返しお伝えしますが、リブランディングとは企業活動において、見た目を変更するというレベルの話ではなく「利益の最大化」であることを念頭に置いて読み進めていただきたいと思います。

リブランディングとは2:リブランディングに必要なこと

リブランディングを行うために大切な視点、それはソリューション(課題解決策)です。理想路線から外れてしまったブランドを再生させるためのソリューションとしてリブランディングは存在します。そのため、

・課題設定
・課題解決

この2つの視点はリブランディングから切り離すことはできません。リブランディングの課題の大きさにも関与するため、企業ごと、ブランドごとに必要な予算や時間は異なると言えます。

リブランディングとは3:リブランディングの失敗例

トロピカーナは、2008年にリブランディングを試み、広告代理店「Arnell」と契約し、大幅なパッケージのリブランディングを行いました。5ヶ月間のデザイン作業、ローンチキャンペーン、そして$35Mのマーケティング費用を費やしたそうです。

しかしながら、結果は20%売上ダウンと大損することになり、すぐ30日後に従来のパッケージデザインに戻しました。実際にパッケージがローンチされたときには、消費者からの反応が全く良くなかったようです。新しいデザインでは、消費者とのつながりが良い方向へアップデートできなかったわけですが、このような事例は、決して珍しいことでは有りません。

リブランディングの手法

リブランディングの手法1:課題設定

さて、課題解決のためのリブランディングについてお話を進めていきたいと思います。課題解決のためのリブランディングに対して、何から取り組むべきかといえば「何を変えて、何を変えないか」を確定させる「解決すべき課題の設定」です。その課題は大きく3つに設定することができるのではないでしょうか。

・購入者の減少
・購入単価の減少
・購入頻度の減少

「利益の最大化」を目指すことが本来の目的ではありますが、ここではリブランディングを売上の最大化を目指すものとして解説を進めていきます。売上を因数分解すると、購入者数・購入単価・購入頻度に分けることができます。費用はリブランディングでは直接的に落とすことができないため、ここでは売上を上げることが「利益の最大化」と言い換えることができます。

リブランディングのための課題設定1:購入者の減少

あなたのブランドの購入者数が減っているのであれば、課題は2つ考えられます。

・購入意向者数の減少
・購入率の減少

見込み顧客数が減少している場合は、さらに原因を掘り下げることができます。

・新規購入者数の減少
・既存リピート顧客数の減少

新規購入者数の減少が原因となっている場合は、新規見込み客のあなたのブランドへの期待が下がっているのであれば、おそらくは古臭いブランドになってしまっている可能性があります。ブランドに新鮮さが無くなって、ブランドが錆びている状態。これは、アパレルブランドが想像しやすいのではないでしょうか?

80年代のディスコシーンの洋服などは、今の時代のトレンドとはいえません。その結果、新規の見込み客から必要とされる期待感やわくわく感が作れず、ブランドが高齢化してしまったようになります。ブランドは、離脱者よりも新規顧客獲得数が多いうちは売上は向上していくが、ブランドが高齢化してしまうと逆転現象となり、離脱者が増えることで売上が減少してしまいます。この場合は、ブランドの離脱者を減らすか新規顧客数を増やすこと、またはその両方が必要となります。

さらにいえば、ブランドパーソナリティが陳腐化し、また顧客も高齢化したことが原因にあると考えられます。そのため、ここでは、課題解決のためのリブランディングは、ターゲット顧客の再設定とブランドパーソナリティの刷新から取り組むこととなります。

リブランディングのための課題設定2:既存リピート顧客数の減少

もしブランドが「既存リピート顧客数の減少」により売上を下げているとするならば、あなたは顧客に満足感を提供できておらず、その売上・利益は良い売上・利益といえないのではないでしょうか。ぶらんどの強化にはファンの獲得が必須であり、そこには十分条件としてリピーターが存在します。既存リピート顧客数が減少しているのであれば、その利益の再投資も実現できず事業は確実に先細りとなってしまいます。

このようなケースでは、お客様に価値が提供できていないということが言えます。ぜひ今一度ブランドの提供価値を見直してみてはいかがでしょうか。提供価値とは顧客が提供される価値のことです。御社が価値と思っていることと顧客が感じる価値は全く異なります。

リブランディングのための課題設定3:購入率の減少

例えば店舗でも通販でも購入率が減少しているとすれば、あなたはどのような原因があると考えられるでしょうか。その答えは非常に多岐にわたると思います。ここでは、マーケティングの4P(Product、Price、Place、Promotion)について考えてみていただきたいと思います。

製品の強みや特徴となっている点は顧客のニーズとフィットしているでしょうか。価格は他社と比較してリーズナブルになっていますか?流通、つまり売り場は適正ですか?プロモーションでは、ブランドの魅力が顧客に伝わっていますか?これらの何に課題があるかを明確にすることからリブランディングは始まっているのです。

リブランディングのための課題設定4:購入単価の減少

もしあなたのブランドの購入単価が下がってきたと感じたとしたら、何が原因だと思われますか?まずは一般的に不景気だからと片付けてしまうことはできます。ところが不景気でなかったとしたら、そのブランドの購入単価の下落はなんでしょうか。もしお客様に単に飽きられたとしたら、また競合ブランドの台頭によるものだとしたら、志向が他の価格の安い商品に移ってしまったとしたらいかがでしょうか。

それらの場合は、提供価値の見直しとポジショニングの見直しをおすすめします。提供価値とは顧客がブランドに感じている価値のことを意味します。あなたのブランドがお客様に継続して価値を感じてもらうために先に上げた4Pを見直してみてください。また同時に留意すべきことは、競合ブランドと異なる提供価値とはどのようなものか、また競合他社よりも優れた提供価値は何かを探ってみていただきたいと思います。

そして、もう一点考えるべきことは、ポジショニングです。お客様は、どのようなブランドでさえも、他の多くの類似商品やサービスと比較しているものです。だとするならば、お客様にどのように比較を「させるか」をあなたが意図的に示すことが重要で、それをポジショニングといいます。ブランドのポジショニングとは、あなたのブランドの独自の魅力が他のどのブランドの同様の魅力よりも勝り、そのブランドがほしいと名指しで購入いただくための戦略です。もしあなたのブランドの購入単価が減少しているのであれば、自社のブランドを他社よりも有利なものに、また他社とは違うポジションを選んでみてください。

リブランディングのための課題設定5:購入頻度の減少

購入頻度が下がってきたとしたら、3つの理由が想定できます。1つ目は、顧客があなたのブランドに期待していたベネフィットが認められず離脱してしまうケース。この場合は、社内における課題の設定が必要になるでしょう。あなたが価値と思っているものが、顧客にとっては価値と認識されていない、または、認識されなくなってしまった。つまり、飽きてしまったということになります。だとすれば、ブランドを磨き上げることが必要になるでしょう。まずは、顧客インタビュー、機能的価値、情緒的価値の見直しから始めてみましょう。

2つ目は顧客が競合他社ブランドにスイッチしてしまったケースです。この場合、あなたのブランドと競合他社のブランドが顧客に比較され、結果として競合他社ブランドに乗り換えが起こってしまったと考えられます。購入単価の減少と同様に、あなたのブランドの提供価値が競合他社ブランドより劣っている、または競合他社ブランドのポジショニングと棲み分けができていない状態と言えます。つまりこのような場合は、ブランドの提供価値とポジショニングにフォーカスしてみましょう。

・競合他社ブランドとは異なる提供価値が存在していますか?
・競合他社ブランドよりも優れた提供価値が存在していますか?
・あなたのブランドは競合他社ブランドと棲み分けができていますか?
・あなたのブランドは競合他社ブランドよりも同じポジショニングでも際立っていますか?

3つ目は、代替品市場に顧客がスイッチしてしまったケースです。ファイブフォース分析をご存じの方は想像ができることと思います。あなたのブランドが代替品に取って代わられているとしたら、あなたのブランドの購入頻度は下がってくることでしょう。

ゲーム市場において考えてみましょう。従来は、ニンテンドーやプレイステーションなどの家庭用ゲーム機が主流でした。しかし、昨今では、スマートフォン、パソコン、VRに至るまで様々な仕組みが台頭してきました。その代替品に合わせて市場も更に大きくなってきています。このように選択肢が増えていくことで代替品に市場を奪われるといったケースも存在します。市場が拡大しているケースであれば、提供価値を磨くことやポジショニングを見直すことで解決の糸口は見えるかも知れません。しかし、もし市場が縮小しているとするならば、リブランディングは有効な解決手段とはなりえません。このようなケースでは、事業戦略やブランド拡張を再検討する必要があります。

リブランディングを検討する前には、十分な課題設定が必要になります。あなたのブランドが提供価値に課題があるのか、ポジショニングに課題があるのか、また別に課題があるのかによって、リブランディングという選択を行ってはいけない場合があることを留意いただきたいと思います。もしお客様が代替品市場への流れており、あなたのブランドもその市場に参入ということであれば、最適な戦い方はブランド拡張といえます。

リブランディングの手法2:課題解決

リブランディングを行う上での課題設定はいかがだったでしょうか。また、あなたが感じてる課題は、先に上げた課題一覧の何が該当するでしょうか。リブランディングという手段を講じる前に課題の設定が何よりも重要でしたが、ここからはその設定した課題に対しての解決のフェーズに入っていきます。

リブランディングのための課題解決1:環境分析を行う

課題設定の後は、課題解決に向け外部環境を分析していきます。当社の経験では、外部環境に力を入れている日本の企業は非常に少なく感じます。特に中小企業。しかし、外部環境をきちんと分析していくことは世の中の流れを読むことに繋がり、兆しを見ることができるようになります。ところがただ新聞を見ればいいということではなく、ニュースや経済情報にアンテナを立てておけば良いのではなく、自社の強みや戦略に整合性が取れるかを判断しなければなりません。そのため、分析をするということに加えて、アップデートするということを意識して見ていただきたいと思います。

環境分析を行う1:PEST分析

ここで大変有効な外部環境分析のフレームワークをご紹介します。PESTとは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字からできています。Politics(政治)は法律や規制などの側面で、またEconomy(経済)は、為替や景気など経済的な側面で、そしてSociety(社会)は人口動態やライフスタイルなどの側面で、最後にTechnology(技術)はITや技術などの面であなたのブランドに影響を及ぼします。

このフレームワークが頭にあって、ドキュメントにアウトプットすることで客観的にあなたのブランドにどのような影響を受けるかを知ることができます。あなたがPESTの構造そのものを変えてしまうような事業でなければ、必然とこれらの影響下の元で事業を行わなければなりません。だとするならば、これらの外部環境をどのように味方にするかを考えていかなければなりません。

環境の分析を行う2:3C分析

3Cとは自社商品やサービスを取り巻くミクロ環境を理解するためのツールです。Customer(顧客)、Competitor(競合他社)、Company(自社)の頭文字から「スリーシー」分析や「サンシー」分析と呼ばれています。このフレームワークは非常に大切で、理解して活用すると事業促進においてとてもパワフルです。Customer(顧客)で顧客のニーズを理解し、Competitor(競合他社)で競合他社の強みと弱みを把握し、Company(自社)で自社ブランドの強みと弱みを理解します。

これらを複合的かつ同時に視点を持つことで、顧客に必要とされ、かつ競合他社に負けない事業をイメージすることができるようになります。リブランディングにおいても同様で、自社のブランドの突出した強みをどのように伸ばしていけば、顧客をファンにして、競合他社よりも秀でることができるか理解できます。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例

リブランディングにおいては、これまで語ってきたように課題設定を重要視しています。そして、マクロ環境とミクロ環境を分析し、どのようにブランドを再定義していくかを検討していきます。そこで活用できるフレームワークがブランドアイデンティティプリズムです。以前にも触れたことがありますが、ここで改めて取り上げたいと思います。

ブランド・アイデンティティ・プリズムとは、ブランドアイデンティティが持つ7つの側面(Brand Symbol、Physique、Personality、Culture、Relationship、Reflection、Self-image)をまとめたフレームワークです。ブランドアイデンティティプリズムは、以下の7つの要素で構成されます。

Brand Symbol:ブランドの中核概念
Physique:物理的に識別されるブランドの側面
Personality:ブランドの個性
Culture:ブランドが自らの行動の規範とする価値体系や基本原則
Relationship:ブランドがシンボライズする人と人との関係
Reflection:消費者を代表する人たち。言い換えれば、ブランドの典型的なバイヤー
Self image:消費者がイメージする理想の自分

以下、このブランドアイデンティティプリズムを活用しながらリブランディングを解説していきたいと思います。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例_Brand Symbol

ブランドアイデンティティプリズムの他の6つの事例を解説する前にブランドシンボルについてお話したいと思います。ここでは、多くがロゴマークを想定することと思いますが、今回は独自の解釈を加えていきたいと思います。この中心となるブランドシンボルに関しては、ブランドの中核概念というものも加えたいと思います。

2003年、「水と生きる」はサントリーの環境広告のキャッチフレーズとして誕生しました。水がなければ何もつくれない企業として、自然への感謝と畏敬、水を守り育てる志と活動、すべての思いが詰まったメッセージでした。2005年、サントリーの企業CIが全面的にリニューアルされます。事業の多様化、グローバルへの発展等、イメージが拡散しつつあったサントリーの企業ブランドイメージ。もう一度サントリーらしさを捉え直し、企業のアイデンティティを明確にして、社員を一つに束ねることを目的として、全社的な取り組みを行いました。

自らのあり方そのものを問うこと。

CSV(Creating Shared Value)と謳われている昨今ですが、ブランドの意義目的から問い直すということはリブランディングにおけるもっともインパクトのある取り組みと言えます。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例_Physique

このPhysiqueは、物理的に識別されるブランドの側面のことを指します。つまり企業のロゴ、配色、梱包デザイン、オンライン空間やコミュニケーションなどが含まれます。リブランディングのために必要なことは、提供価値の見直しとポジショニングの再設定です。提供価値が市場のニーズを満たし、他社との差別化ができているか、そして、他社とのポジショニングの棲み分けができているか、これらがクリエイティブにも表現できていることが重要です。意識したいことは一貫性です。リブランディングにおいて、ブランドアイデンティティプリズムというフレームワークであなたのブランドの一貫性が保たれているか確認してみてください。

Physiqueの事例では、NISSANを事例にあげたいと思います。NISSANはカルロス・ゴーン氏の資産の私的流用で社会的な信用を大きく損ないました。そして、まさか国外逃亡まで行ってしまうゴーン氏にNISSANは大きなダメージを被ったことでしょう。新たなブランド戦略に起用されたのが木村拓哉氏です。「やっちゃえNISSAN」をスローガンとして、木村氏が「平坦な道なんてなかった。なんどもつまずきころびかけた。それでも逃げなかった」と語ります。

NISSANはこのCMにおいて、自社の復活への思いが込められています。オンラインでは、多くの方が、木村氏を起用したCMに感銘を受けていることが見て取れます。NISSANはロゴマークや世界観を刷新し、プロダクトのデザインに至るまで、新しいスタートという強い覚悟を感じさせるコミュニケーションを行っています。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例_Personality

Personalityは人間で言うところの個性です。あの人はキャラが立っているとか言う使われ方をしますが、その個性です。あなたのブランドにどのような個性があり、なおかつリブランディングを行う際に、特にどのような個性を強化しようと考えられますか?Personalityはそのままコミュニケーションの橋渡し役となります。個性が際立ち顧客に受け入れられそうですか?そして他社ブランドとの棲み分けにおいてもあなたのブランドの個性が顧客にどのように映るかを考えてみてください。

Personalityの事例として、ペプシ・コーラを紹介します。コカコーラとペプシの比較は随分昔から事例としてよく挙げられます。「一般に、コカコーラは、家族、星条旗、堅実、アメリカの田舎」で、一方、ペプシのイメージは「刺激的、革新的、そして、急成長しているブランド」と考えれていました。そこで、ペプシ社では、「このイメージを利用し強化することに」決めて、マイケル・ジャクソンを起用して“Pepsi, The Choice of a New Generation”を展開しました。その後も、ライオネル・リッチー、ティナ・ターナー、マドンナなどビッグアーティストを登用して、ペプシコーラのキャラクターを強化していきました。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例_Relationship

Relationshipは、ブランドがシンボライズする人と人との関係を表します。学生と学生の関係を表現したり、親しい友人グループのような関係か、または山登りをする人と人との関係を表すか、このようにブランドがどんな人と人とをつないだ存在になりたいかを考えることがこのRelationshipです。

Relationshipの事例として、Kitkatをご紹介します。多くの方がご存知のKitkatは、ある施策を行って若い層を獲得することに成功しました。それは受験生の応援ツールとして、「きっと勝つとぉ(きっと勝つよ)」という縁起の良さに掛けて自然発生的に九州で始まったムーブメントを、ネスレが見逃さず、受験生応援キャンペーンにすることで、大きく業績を伸ばすことができました。これはプロダクトブランドが宿泊先のホテルと受験生、家族と受験生の関係性を象徴するものへリブランディング/リポジショニングすることに成功しました。キャンペーン自体は、キットサクラサクよキャンペーンとして電車のボディなどにデザインが施されるなどの広がりを見せ、今では受験生のお守りとして大きなポジションを獲得しています。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例_Culture

ブランドにおいて文化と言われて何を想像しますか?企業において文化とは、DNAのことを意味すると考えます。DNAとは、脈々と受け継がれた考え方や歴史、伝統や業績、人材や社風、仕組みなどを指します。各都市の文化と言えば、祭りや食、風習や商習慣など特徴を表すものは様々です。これを企業に当てはめて考えることで、あなたのブランドの「らしさ」を表出させることができます。そのため、あなたの会社がまだ会社の節目となる記録を残せていないのであれば、今日からでもぜひ残していくことからはじめてください。それが回り回って、後々の人材やブランドのためのDNAとなり得るからです。

Cultureの事例として、トヨタ自動車をご紹介します。これはあなたの会社においてもCultureは脈々と根付いていることと思います。おそらくトヨタを知らない人は日本人ではいないでしょう。ただ、トヨタはもともと上海の豊田紡織廠という会社が前進であったことを知る人は少ない。私はその上海の会社に見学に行ったことがあり、その時はまさに時代の変化というものに触れた気がしました。

トヨタ自動車の豊田章男社長のひいおじいちゃんである豊田佐吉が創業し、その息子の豊田喜一郎が自動車会社を創業しました。トヨタには脈々とイノベーションのDNAが備わっており、章男社長がコネクティッド・シティーWoven Cityーとして、モビリティが走行する街を作ろうとしています。この変化の時代に、自ら変化させようとするDNAこそトヨタの底力であり強みです。あなたのブランドにもCultureがあるはずです。ぜひそのCultureをさらなる高みへと歩みを進めていただきたいと思います。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例_Reflection

Reflectionとは、反映、投影などの意味があります。ここでは、ブランドの顧客を代表する人のことを指し、バイヤーペルソナということもできます。あなたのブランドを必要とする顧客像をイメージしてみてください。家族構成や年収などの情報だけではなく、心理的なことであったり、ライフスタイルにまで顧客というものをイメージしてみると、コミュニケーション戦略や費用対効果の高い投資に良い影響を与えることと思います。

Reflectionの事例として、1年で売り上げを低迷期の8倍にまで伸ばした「シーブリーズ」をご紹介します。それまでのシーブリーズは、「海でマリンスポーツの後に汗を拭く20〜30代の男性」を設定していましたが、そもそも20〜30代男性は海に行かなくなっていました。ブランドの方向性を長らく変更しておらず、ブランドに対して時代遅れなイメージが蔓延していました。そこで、シーブリーズは、ペルソナを「部活後に好きな男の子に会うために汗を拭く、恋する女子高生」に変更し、パッケージの刷新とプロモーション戦略の大幅な変更を実施しました。それに伴い、青と白が貴重だったパッケージデザインのカラーバリエーションを増やしたことで、女子高生の間で蓋を交換したりなどのブームへと広がっていきました。プロモーションも同世代の人気タレントを起用し、見事にリブランディングに成功しました。

リブランディングのための課題解決2:ブランドアイデンティティプリズムと事例_Self-Image

Self-Imageとは、顧客自身が思い描く自分像です。ブランドと接したときに、どのように自分自身を表現するかがポイントで、自己表現的価値ということができます。バイヤーペルソナがどのような自己表現を行っているかをここで伺い知ることができます。しかし、一般的な顧客自身は意識的にこのSelf-Imageを描いているというよりも、深いところにある憧れの自分自身のことということもできると思います。

Self-Imageの事例として、GUをご紹介します。Self-Imageは理想の自分自身の投影であると言い表すことができます。その事例として挙げられるものとすれば、ファーストリテイリング社のGUにではないでしょうか。GUはユニクロが作り出してきたカテゴリーブランドとしてのさらに安価な商品ラインと認識されています。しかし、最近では「ファッションを、もっと自由に。」というメッセージとともに、トレンドファッションが非常に安価に楽しめるブランドに育ってきました。それは、10代、20代のこうありたいという自身のイメージにフィットし、さらにトレンドをしっかりと抑えた提案がなされてるからだと考えられます。

GUがスタートした頃は、安い分、品質に課題が感じられていましたが、そこはさすがにファーストリテイリングです。しっかりと、ブランドとしての要所を抑えており、若い世代から支持されるまでになりました。若い世代は、GUを身につけることで、トレンドを抑えることができるという安心感を手に入れているように感じます。顧客は、GUを選びトレンドに敏感なおしゃれな自分を表現できるようになりました。このように顧客自身の表現の対象としてブランドが選ばれるということが企業の成長を実現するのだと気付かされます。

リブランディングの手法3:課題解決のためのリブランディングチェック項目

最後にリブランディングが取り組むとした場合の確認事項を共有したいと思います。以下の確認事項において、漏れのないように取り組んで頂くことで、リブランディングの取り組みが機能するかどうかの判断材料にしていただきたいと思います。

1、リブランディングが実現したいビジョンが明確かどうか。
2、あなたのブランドが低迷している場合、その要因の特定に間違いはないか。
3、リブランディングにおいて、あなたのブランドは何を変化させ、何を変化させないのか。
4、リブランディングが、ブランド低迷の要因の解決となっているか。
5、リブランディングが、変化した市場に適応するか。
6、リブランディングが、変化したターゲットのニーズに適応するか。
7、リブランディングが競合ブランドとの差異性を生み、競争に勝つことができるか。
8、リブランディングにおける投資効果は期待できるかどうか。
9、リブランディングの継続性が、自社の資源でまかなえるかどうか。
10、リブランディングが実現したいビジョンが明確かどうか。

ここまでご覧いただき、いかがだったでしょうか。リブランディングという手段を選択して、機能するケースと機能しないケースがあります。企業は定義した課題をどのように解決するか常に向き合わなければなりませんが、あなたのブランドの課題解決にリブランディングという手法が意味のあるものであることを願っています。

 

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