ブランドロイヤリティ

ブランドロイヤリティについて

ブランドロイヤリティについて:ブランドロイヤリティの向上を目指す

ブランドのファンの度合いを示す考え方として、ブランディングの専門家の中ではブランドロイヤリティという言葉が用いられてきました。ブランディングというものは、日本においては、広告代理店に任せておけば良いという時代が長くありました。しかし、「ブランドエクイティ」ブランドを資産として考えられるようになるとブランディングの目指すべきことが変わってきます。

ブランドは経営上においても非常に重要な資産であり、投資家を始めとするステークホルダーにとっても大きな意味を持つことになります。そのような中でブランドエクイティと同様に重要視されているものがブランドロイヤリティといえます。ただのプロモーションという意味でのブランディングではなく、もっと科学的にブランドというものを考える時代になってきたということです。

ブランドロイヤルティとは、ある特定のブランドに対する消費者の忠誠心と考えられています。顧客満足度が高くても、価格や販売チャンネルやアフターサービスなどに問題が発生すると、必ずしも継続して売れないことがわかってきました。つまり商品やサービスだけでは、顧客がファンにならないということです。消費者が商品やサービスを購入する際、同じブランドのものを繰り返し購入することを意味し、そうした消費者が多いブランドは、ブランドロイヤルティが高いと考えられます。

話は戻りますが、そのような背景から、ブランド研究者のD.A.アーカーは「ブランド・エクイティ(ブランド資産)」という概念を提唱しました。今回は、ブランドロイヤリティとその向上について学んでいきたいと思います。様々な解説をご覧いただくことで、ブランドロイヤリティを社内で評価するための指標やブランドロイヤリティを高めるための手法を身につけていけるのではないかと思います。

ブランドロイヤリティについて:ブランドロイヤリティの意味とは

ブランドロイヤリティと言われてもイマイチ意味がわからないと思われる方もいらっしゃると思います。当社においてブランドロイヤリティとは「ある特定ブランドに対する愛着の度合い」と定義しています。以前にも触れたかも知れませんが、新規顧客獲得コストはリピート顧客の再購買コストの5倍と言われています。長期的な事業や安定的な事業を行っている背景には、リピート顧客が応援してくれているはずです。集客を実現するための先行投資は、リピート顧客によって回収されているという方々も多いのではないでしょうか。

しかし、もしあなたの会社のリピート顧客のブランドロイヤリティ(=ブランドに対する愛着の度合い)が低ければ、類似商品を購入しあなたの商品を購入しなくなるという危険性が高くなることは容易に想像できるでしょう。そして、常に新規顧客を獲得することになり、先行投資がかさんで収益性の低い事業となりかねません。

だからこそ大事にしていただきたいのはブランドロイヤリティです。ブランドロイヤリティの向上がどれだけあなたの会社にメリットをもたらすでしょうか。ここからは一緒にブランドロイヤリティについて深く掘り下げていきたいと思います。ブランドロイヤリティとは、今までに触れてきた知覚品質やブランド連想とは全く別物です。似たようにも思われるかも知れませんが、確固たる違いとは、ブランドロイヤリティの向上というものは、収益に直接関与しています。

では、あなたに質問です。①ブランドロイヤリティが高ければリピート率は高まりますか?②またリピート率が高ければブランドロイヤリティも高いといえますか?いかがでしょうか。

ブランドロイヤリティとは「ある特定ブランドに対する愛着の度合い」とお伝えしました。愛着があればあるほど、他の商品・サービスよりもそのブランドが選ばれるでしょう。つまり、結果としてリピート率は高まるでしょう。しかし、②リピート率が高いからと言って、ブランドロイヤリティ/愛着があるかどうかといえば、決してそうとは言い切れないのではないでしょうか。もしかしたら、しょうがなくリピートしている消費者もいるかも知れませんね。

ブランドロイヤリティが高い方というのは、あなたの商品・サービスじゃなきゃだめだと感じているはずです。少なくともあなたのブランド「が」いいと思っていただけている方でしょう。リピート率が高いという定量的な側面だけでブランドロイヤリティは判断はできません。ブランドロイヤリティというものは定性的な要素も含まれていますので、その判断がブランドオーナーには求められます。

ブランドロイヤリティについて:ブランドロイヤリティと顧客満足は違う?

顧客満足(CS:customer satisfaction)という概念は1980年代頃から広まり始め、顧客が商品・サービスに満足したかどうかが業績を左右する一つの指標にもなりました。現在も顧客満足調査を行ったりする会社も多いことと思います。しかし「顧客満足が高い=商品が売れ続ける」という方程式が成立しないことがわかってきました。仮に購入プロセスが面倒だったり不満が発生した場合は、商品を購入しなくなることもあります。

一方、ロイヤリティ(Loyality)とは、忠誠心という意味になりますが、ブランドロイヤリティはブランドに対する愛着心と言い換えることができます。顧客のブランドに対するロイヤリティが高ければ、自ら商品を定期的に利用するだけではなく、インフルエンサーとして知人や友人に紹介まで行ってくれます。もしブランドロイヤリティの高いお客様が何か不満に感じることがあったとしましょう。その場合、このお客様はどのような態度・行動になるでしょうか。

私自身は長くアップルのファンです。ある時、サービスの一つがうまく機能せず問い合わせをした所、たまたま経験の浅い方だったのか頂いた指示がきっかけで更に問題が複雑になってしまいました。電話越しにお話を聞いていただいていましたが、徐々に本人も迷走しだしたことに気づいているようでした。私は内心「アップルにしてはなかなか珍しいことだな」と感じていました。時間もなかったので、上司の方に変わっていただき、改めて説明した所、ものの5分で解決しました。

ロイヤリティの高い私は、クレームを言いました。しかし、なぜ最初の担当者が迷走したかを理解していたので、そのことを丁寧にお話しました。その時、私はその方の成長をおせっかいながらも勝手に考えてアドバイスをしたところ、上司は丁寧に感謝の言葉を言われていました。この一連の対応そのものも含めてアップルの凄さなのかも知れませんが、ロイヤリティの高い私は、攻めるような言い方はしませんでした。一方でただのリピーターであれば、もっと厳しいクレームか何も言わずにネットに不満を掲載するかなどが考えられるでしょう。

消費者を味方にするということは、顧客のブランドロイヤリティを高めることにほかならないと言えます。リピーター率という数字に目を向けるだけではなく、ブランドロイヤリティが高まっているかどうかを客観的に観察することが企業の持続的な成長には大変重要なことだと考えます。

ブランドロイヤリティについて:ブランドロイヤリティを計測する方法

ブランドロイヤリティの計測には、NPS(ネット・プロモーター・スコア)という計測方法が挙げられます。この指標は2003年にアメリカの大手コンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニー社のフレドリック・F・ライクヘルド氏がハーバード・ビジネス・レビューで発表しました。GEやアップル、レゴなど様々な企業がその有効性を証明したことで、急速に広がっていきました。現在でも、NPS®は欧米の売上上位企業(フォーチュン500)のうち3分の1以上が活用していると言われています。

例えばアメリカンエクスプレスやP&G、グーグルもこの指標を活用してサービスに対するロイヤルティを計測し、日々サービスの改善に務めています。NPS®を計測するためには、「あなたは○○を友人にすすめたいと思いますか?」と質問し、0〜10点で評価してもらいます。その中で0〜6点を付けた人を「批判者」、7・8点を付けた人を「中立者」、9・10点を付けた人を「推奨者」と分類します。NPS®は「推奨者」の割合(仮に50%)から「批判者」の割合(仮に30%)を引いた数値(50%-30%=20%)のことを指します。(つまり、推奨者が増えるほど数値が高くなり、批判者が減るほど数値が高くなるように設計されています。)

「NPSは顧客ロイヤルティなんでしょ?ということは、顧客満足度と同じじゃないの?」と思うかもしれませんが、顧客満足度とNPSは違うものです。具体的な違いは「収益性に強く関係する指標かどうか」というポイントで違いがあります。

・顧客満足度:お客さまが現時点で商品やサービスにどれくらい満足しているかを調べる
・NPS(顧客ロイヤルティ):お客さまがこれから商品やサービスを使い続けるか、また家族などにすすめるかを調べる

「計算の方法はわかったけど、じゃあ具体的にどうやってNPSを使えば売上アップをするの?」という疑問にお答えします。これを考えていくためには、LTV(生涯顧客価値)から考えていくのが一番シンプルです。NPSとLTVを活用して、顧客ロイヤリティの指標としていただければと思います。

ブランドロイヤリティについて:ブランドロイヤリティを向上させる手段

いよいよブランドロイヤリティを向上させることについて考えていきたいと思います。あなたの商品に対してファンとなり、ロイヤルカスタマーとなっていただくための手段を検討していきます。

ブランドロイヤリティを向上させる手段1:価値を向上させる

価値の向上というものですが、価値とは「社会的価値」「自己実現的価値」「感情的価値」「機能的価値」があります。この価値を向上させることが最も大事になりますが、詳しくはブランド価値のページを御覧ください。

ブランディングとは/ブランドバリューの構成要素とブランディングのステップ

ブランドロイヤリティを向上させる手段2:貢献欲求を満たす

消費者自身がそのブランドを通じて誰かの役に立っているという意識を持ってもらうことも大変重要なことだと思います。SDGsというものも一つ挙げられると思います。お金を持つことがが幸福という時代ではなくなっていますので、企業が率先して関わることが大事だと思います。

ブランドロイヤリティを向上させる手段3:教育していく

消費者を教育していくということは大変重要なことだと思います。知らなかったことを教えてあげることで、自己実現欲求が満たされていきます。商品を販売する立場でありながらも、教育する立場という視点も大事になります。

ブランドロイヤリティを向上させる手段4:縁を生み出す

私自身は、ネットワークビジネスというものに対して何も否定的な考えはありませんが、ネットワークビジネスがポジティブに機能しているときというのは、顧客紹介システムが上手く機能しているということなので、実は最強のロイヤリティの高め方だと思います。紹介だけではなく、そこから新たなご縁が生まれて、ヒトと人がつながることはとても価値があると考えられています。縁を生み出しコミュニティにしていくことはマーケティング・コミュニケーションにおいて大事なことかもしれませんね。

ブランドロイヤリティを向上させる手段5:IT/テクノロジーを活用する

アマゾンに代表されるようにテクノロジーの台頭により多くの恩恵がもたらされています。そして、人々もその恩恵に対してロイヤリティを持っています。ブランドロイヤリティとは今までの活動を肯定的に否定しながら、新しい価値を生み出すことが求められています。その波を感じて活用すべきところは活用していくことでロイヤリティというものを醸成させていくことができるようになります。

ブランドロイヤリティについて:ブランドロイヤリティによる好循環

ブランドロイヤリティを向上させることは、企業を安定的かつ持続的に利益を生み出す仕組みそのものになっていきます。

1、ブランドロイヤリティの向上

消費者がファンとなり、企業の支援者として関わってもらえるようになると、企業は強くなることはご理解いただけると思います。

2、販売数の向上

ブランドロイヤリティが高まることで、結果的にリピート数も増えます。これは既に触れましたが、ブランドロイヤリティの向上とは、商品やサービスのファンとなっている状況です。

3、価格プレミアムの向上

ブランドロイヤリティの高まりは、知覚品質価値のページでも伝えしましたが、価格フォーカス、品質フォーカス、バリューフォーカス市場があることをお知らせしました。バリューフォーカス市場は価格プレミアムが向上している状況になります。

4、顧客獲得コストの低下

こちらも容易にご理解いただけると思いますが、ファンが定期的な購入を行ってくれることで、新規顧客獲得コストが抑えられます。その結果顧客獲得コストが下げられるということに繋がります。しかし、ダイレクトマーケティングいわゆる通販を行っている方は、新規顧客獲得コストはすぐに下がらないかもしれません。それは、新規顧客獲得を継続的に行い続けなければならないからです。

5、顧客維持コストの低下

ブランドロイヤリティが高まることで、定期的なコミュニケーションというものを商品・サービスが行ってくれるようになるためです。今まではリピーターを増やすためにパンフレットを送ったり、DMを送ったりしていませんでしたか?ファンになるということは、そのようなコストも抑えられるというメリットがもれなくついてきます。

6、ブランド利益の向上

上記お伝えしているように、販売数が伸びて、顧客獲得コスト、顧客維持コストが低下することにより、当然利益は向上します。強い経営を行っていくためには、この利益の最大化こそが大事なミッションですね。

7、ブランディング投資の拡大

これら一連のご説明の通り、ブランドロイヤリティの高まりこそが結果的な好循環を生み、さらなる利益を増大のための投資ができるようになります。ブランドとは、企業だけではなく消費者の頭や心のなかに存在します。その頭と心をマネジメントすることがどれだけの価値を生み出すかをぜひご理解いただきたいと思います。

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