知覚品質とブランド

消費者の知覚品質とブランドについて

知覚する品質と価値を高める手法

多くの方々は今の時代の中で良いものを作れば販売量が増えるという時代ではないと考えています。製造業が市場の中心にあった頃は良いものを作るということが大切にされていた価値観だと思います。ところが、ここまで情報産業が隆盛を高めている昨今、企業は良い製品を伝えるという手段に長けている必要があります。

品質が良いものは世の中にすでにたくさん存在します。その上で、消費者に選んでもらえる手法がブランディングだということは何度もお伝えしてきました。あなたが消費者の立場だとしても、良いものはたくさん存在しますが、その良いものに本当にたどり着けているかは疑問が残るでしょう。だからこそ、商品にたどり着いた消費者に対して、品質がいいことを知覚してもらわなければなりません。

世の中にモノが溢れた成熟期において、競合他社との差別化には本当に頭を使います。多くの企業がその血みどろの価格競争から抜け出したいと考えているのではないでしょうか。今回からお伝えする、知覚品質とブランドというテーマは、品質で差別化がすることが困難になってきた現代においては、理解しておかなければならない内容です。知覚品質とブランドを考えることで、消費者からのロイヤリティの獲得や競合他社との差別化に向けて、適切な計画と行動ができるようになります。

知覚品質:品質と知覚品質の溝が企業の成長を止める?

ある経済学者によると、知覚品質の差によってROI(Return on investment:投下資本利益率)は2倍変わると言われています。知覚品質で下位20%に属するビジネスは平均してROI約17%であるのに対して、上位20%に属するビジネスでは、ほぼ2倍のROIが得られているそうです。

さて、あなたは知覚品質というものをご存知ですか?知覚品質とは、消費者が知覚している物やサービスに対する品質であり、単なる機能的なものだけでありません。企業側が考える品質と消費者側が感じている品質には差が生じており、知覚品質とは消費者が客観的に無意識で認識している品質を意味します。

企業側はマーケティング・ブランディングのプロフェッショナルがあれこれ考えて、ブランディングに取り組んでいます。ところが消費者からすれば、そのようなプロフェッショナルの目線は持っていないために、明らかにギャップが生じてしまいます。そこで企業が消費者とのギャップを無視したまま事業を進めていくと、お互いの理解が深まらないため事業は成功しません。

さて、あなたはランボルギーニという車についてはどのように印象を持っていらっしゃいますか?きっと、品質が高いといったキーワードが上がってくるのではないでしょうか。しかし、ランボルギーニのインテリアやエンジン性能、装備などについてご存じの方はほとんどいないでしょう。ただ、品質は高いだろうという認識以外には詳しくしらないのではないでしょうか。これが企業側が考える品質と消費者側の知覚品質のギャップです。

あなたのブランドはいかがでしょうか。自社のブランドの品質は優れていると考えていても、「消費者がどのように感じるか」というその知覚品質が低ければ、購入に至ることはありません。ブランドの大切さが謳われる以前は、品質がよければ売れると考えられていました。しかし、消費者の立場からすると、消費者が知覚している品質が納得できなければ、購入に至ることはありません。ブランドを構築する上でも大切な考え方ですので記憶に留めていただきたいと思います。知覚品質とは消費者が感じている品質であり、消費者を購入までモチベートするスイッチにもなり得るものです。ぜひブランドを高めるために消費者の知覚品質を意識してブランディングを行いましょう。

知覚価値:消費者が考える価値とは?

知覚価値とは「商品の実際の価値」ではなく「ユーザーが認識している価値」のことを言います。知覚価値は、商品価値そのものではなく、消費者にとってのイメージや雰囲気といった抽象的なものまで含まれます。例えば、ビンテージワインが100万円を超えたりして、タレントが安物のワインと間違えたりする番組がありますが、まさにあの状態がそうですね。また、一方ではカニカマが蟹とそっくりな味になって、2~300円のカニカマの天ぷらやカニカマのしゃぶしゃぶが料亭の味に思われてしまうということが起きています。前者は知覚価値がネガティブに働いている事例で、後者はポジティブに働いています。

ただ価値というものは、交換という本質的な活動の上に成り立っており、交換したい価格が、商品の価値と異なっていただけの話であり、誰かがビンテージワインに対して100万円の価値を見出しているということとも言い換えることができます。その前段を踏まえた上で、安物のワインの方に価値を求めることがあるのは、それだけ人の味覚というものが曖昧なものであるからです。前者と後者の事例を比較したとき、企業からすれば当然後者の方が顧客満足に繋がります。

ここで大切なことは、知覚価値というものは、顧客満足に深く関与しており、またロイヤリティにも当然関与しています。消費者にとって、商品・サービスの品質が低く価格が高いものは、購買を促すほど魅力的なものには映らないでしょう。逆に商品・サービスの品質が高く価格が安いものは、お買い得であり消費者にとって喜ばれるものになります。企業が利益を生み出すためには、お値段以上の価値を知覚してもらうことを考えなければなりません。

ここで大切なことは、ターゲットの存在です。100万円のビンテージワインを好んで購入する人と、全く価値を感じない人がいますが、知覚価値というものは全く人それぞれだということです。

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ターゲットを論じるのは別の機会にしますが、次は、知覚価値を下げて、価格を上げることが可能かどうかを考えてみたいと思います。

知覚ライフサイクルコストを低下させ、かつ価格を上げる

価値は階層的で、基本的価値,機的能価値,情緒的価値,自己表現価値という構造になっており、価値ラダー(要件を満たす製品→高品質の製品→優れたサービスを伴う高品質の製品→顧客にとっての経済価値の提供→顧客のイノベーション)という考え方もこの範疇に入ります。価値工学(VE : Value Engineering)における価値の式は「価値=機能/コスト(V=F/C : Value= Function / Cost)」とされています。消費者が受け取る価値というものは、その価値のためにどれだけのコストを費やして、メリットを享受できたかと言い表すことができます。もう一つの式は「製品の知覚価値=知覚便益/知覚ライフサイクルコスト(モンロー)」です。これはどちらが優れているという議論ではありません。価値と知覚価値の比較という認識で考えると、なるほどと理解できます。

さて、式に出てくる知覚便益(提供された全商品・サービスに買い手が感じる相対的な効用)=商品自体の物理的属性+サービス属性+商品の特別な仕様に関する技術的サポート+価格による品質イメージ・プレステージ+その他の知覚品質です。

知覚ライフサイクルコスト(商品購入の検討から購入後維持を含めたコスト、心理的な苦労やリスクを感じることも含む)=実際の購買価格+スタートアップコスト(入手コスト、運搬コスト、設置コスト、注文に関するコスト、訓練のコスト)+購買後のコスト(修繕・維持、失敗あるいは期待はずれのリスク)です。

以上から言えることは、知覚便益とは、なにも商品自体だけでなく、その他のサービスも含むということであり、それらのトータルでの価値といえます。また知覚ライフサイクルコストは商品価格だけではありません。商品購買の検討にも時間や労力などのコストがかかりますし、購買後の維持費も必要となります。また買ってみて失敗だったというリスクも割引現在値でのコストになるでしょう。

さて、今回のテーマ「知覚ライフサイクルコストを低下させ,かつ価格を上げる」ですが、2つ目の式に表示されている「実際の購買価格」を引き上げるとした時に、スタートアップコストや購買後のコストを抑えることで結果的に、今回のテーマは実現可能となるわけです。

例えとして、当社のようなブランディング会社が金額を上げたいとします。同業他社がサービスを10万円で提供する中で、当社は価格を10万円から20万円にしたいという場合、どのように考えなければならないかといえば、10万円高くなるけれども、顧客のブランドが強化され業績が投資以上に実現すれば金額を高くしても費用対効果を考えるとプラスになると考えてもらえるわけです。これは購買後のコストが下がったわけです。投資が失敗しないという期待はずれのリスクを回避することで、知覚ライフサイクルコストは変化せず、金額を上げることに成功しました。これは、客単価を上げることになり、利益率の改善に繋がります。

品質価値向上戦略のターゲット範囲

この価値向上戦略では範囲を絞ったターゲティングが大変重要になります。知覚価値向上のためのターゲットになりうるのは、便益と価格が公正に交換できる範囲内といえます。この範囲をバリューゾーンとよび、縦軸の便益と横軸の価格から構成されるますが、価格によって仕切られるところには、消費者セグメントが存在しています。

バリューゾーンの外は貧困のスパイラル(Poverty Spiral)と名づけられており、安物しか買う余裕がなく、安物買いをすることにより、失敗してまた更なる貧困に陥る層とされています。安物買いの銭失いゾーンですが、中古車を購入したけれども余計に維持費がかかってしまったり、安いホテルを利用して体調が悪くなったりして余計にコストがかかったりするケースです。

バリューゾーンを挟んで逆は、顕示的消費(Conspicuous Consumption)と呼ばれ、この層は,怪しげな価値を持つ便益のためにお金をつぎ込みすぎる消費者の層です。不要と思われるものに目がくらんでしまい、惜しげもなく支出をします。このセグメントでは、価格は顧みられず、価値向上戦略の対象外となります。プレミアムブランドに対して、限定品などを購入してしまい、高ければ高いほど喜んで買う層が存在します。

続いてバリューゾーンの価格フォーカス、品質フォーカス、バリューフォーカス市場をご説明します。

1、価格フォーカス市場

この市場では、価格が便益よりもずっと効き目があります。需要拡大の有効な選択肢が価格のみということもあり、価格を一定に保ち、製品の便益を向上させるという戦略は、あまり効率的ではありません。これでは企業利益率を下げることになりますし、また価格を下げないで製品の便益を下げることは長期的に顧客満足を低下させてしまいます。

価格と便益を同時に変化させる場合には、両者の効き方に注意して価値増大方向に変化させる必要があります。例えば、価格を下げ、便益を下げる場合には、便益の増大効果より価格低減効果が大きいため、それによる価値増大の可能性も生まれます。

2、品質フォーカス市場

この市場は価格フォーカス市場とは逆になり、便益効果が価格効果より高い市場といえます。価格を下げてもそれほど価値増大がないのに対し、便益拡大の効果は大きく、特にプレミアム製品市場では、製品の便益を上げて価格を上げるのは、エコノミー製品市場よりもずっと容易です。

3、バリューフォーカス市場

この市場では、価格と便益の効果がほぼ均等です。低価格で標準的便益の製品や標準的価格で便益の高い製品を出す方法がエントリー戦略でよくとられるが、これはこのセグメントで効果的です。

以上、価格と便益の効果からセグメントの特性を捉えた上で価格-便益の価値向上戦略を実施する必要があります。

知覚品質と知覚価値を向上させる手法

知覚品質とは、消費者が知覚している物やサービスに対する品質であり、企業側が考える品質と消費者側が感じている品質には差が生じており、知覚価値とは「商品の実際の価値」ではなく「ユーザーが認識している価値」である、ということはご説明しました。これから考えていかなければならないことは、知覚品質の向上であり、同時に知覚価値の向上でもあります。

私は食事に出かけることが大好きで、クライアントもレストランが多いのですが、客単価5万円の食事を提供するお寿司屋さんと客単価1万5千円の食事を提供するお寿司屋さんの意識していることが随分と異なることがわかります。単価5万円のお寿司屋さんは、インテリアや棚におかれている調度品もその空間を演出するために使用されています。しかし、1万5千円のお寿司屋さんは、1万5千円で5万円のレストランと同等のサービスと質を提供していると言われるものの、1万5千円の雰囲気しか感じさせません。それは、寿司以外の空間や調度品へのこだわりの質に影響されていると感じます。

寿司一貫を見れば、比較しても大きな大差はないかも知れません。しかし、雰囲気やしつらえ、迎え入れる空間が本当に質を追求できているかと言えば、決して体現できてはいないのです。大切なことは一つひとつのこだわりの積み重ねだと思います。しかし、自分自身だけで気づくことができる人というのはそうはいないかも知れません。

次は、具体的に知覚品質と知覚価値を向上させる手法をご説明しますが、第一に最も大事なことは考え方であることを共有させていただきます。

利益・実証・安心・信頼を伝える

「利益・実証・安心・信頼」この4つのキーワードは、様々な広告物を制作する際に大変役に立ちます。利益とはお客様に対するメリット、実証とはその裏付け、安心とは第三者の意見などの客観性、信頼とは社歴や過去の実績といえます。この4つを理解いただけると他社の事例も分析できるようになります。

パナソニックのカメラレンズには純正でライカを使用しており、その品質の高さを裏付けています。ダイソンは、「吸引力の変わらない唯一の掃除機」を独自のサイクロンテクノロジーという技術をCG表現しています。やずやなどの通販会社はチラシにお客さまの声を掲載し、サプリに効果があることを客観的に伝えています。テレビや雑誌などのメディアで紹介されることも同様で、第三者の声で信頼性を高めていますね。業界No.1とか〇〇にこだわって30年というメッセージがあると購入の後押しになるかも知れません。

成分・原料にこだわる

最近良く目にするのは、乳酸菌をそのまま商品名にするケースです。L-92、ガセリ菌CP2305、L-137とか様々なものが発売されています。いかに腸が大事にされているかだと思いますが、素材そのもののをメッセージに乗せることで消費者の信頼感が高まります。また最近では、カカオ95%などのチョコレートも人気です。カカオポリフェノールの効果が期待できるからだと思いますが、成分や原料に強みを見出すケースが見受けられます。

1枚の写真にこだわる

写真も映像もそうですが、居酒屋のビジュアルは、コースメニューが並んでいて、後ろにお酒が並んでいるという写真をよく見かけます。それでは差別化ができず、どこの飲食店の写真かがよくわかりません。一つひとつのビジュアルにこだわると全く違う表現が可能になります。その手間を惜しんでしまうと同業他社に埋もれてしまいます。特に昨今は、SNSの普及により一般人のビジュアル的な感性が向上しています。そのセンスの高さを高めていくことで消費者の心を掴むことができます。

職人を登場させる

こちらは信頼といえますね。職人さんの技術、こだわり、想いを語ることは大変メッセージ性が高いと考えています。職人さんの顔のしわや手の厚みなど言葉同様にビジュアルで語ることができるケースもたくさんあります。紙、WEBや映像では中々人のぬくもりというものは伝わりませんが、職人や関係者を登場させることで、消費者との関係性を向上させることは可能です。

生産地や地域ブランドを活用する

新潟産コシヒカリ、渋谷パルコなど生産地や地域のブランドを活用することでどのような印象を与えられるでしょうか。米処の新潟という背景があり、品質を裏付けていると感じます。また他の地域のこしひかりよりも美味しそうなイメージをもたせることに成功しています。それは実際に食べてみて良い印象が残ったからということもあるかも知れません。またメディアに取り上げられてブランドが築かれたからかも知れません。いずれにしても結果うまく知覚品質と知覚価値を向上させることができたというより、地域のブランドに便乗するという手法は明らかに存在します。

製法のこだわりを表現する

昨今ウィスキーは大変人気を博していますが、それらの醸造元は原料、仕込み、発酵、蒸留、熟成、ブレンドといった様々なステップで経験や技術を要します。仕込みで作った麦汁をアルコール分約7%の発酵液に変える工程を発酵といいます。発酵中の麦汁に酵母を加えると、酵母は麦汁中の糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスに変え、ウイスキー特有の香味成分をつくるそうです。酵母の種類や発酵条件によって香りなどに特長が出て、約60時間かけて発酵をさせます。私たちを楽しませてくれるこれらのウィスキーは、普通は知られていない手間と時間がかかっています。その製法のこだわりを伝えることは、ファンたちの知的好奇心を駆り立ててます。

技術/テクノロジーの高さを伝える

特に日本人は、技術大国でありながら、その技術を批判しがちでです。欧米人はそれでも自分たちの技術がすごいと言い続けます。そうしているうちにダイソンのような会社が生まれます。掃除機として日本の製品のほうが長持ちですが、その強みの出し方が卓越しているためについ信頼してしまいます。もしかしたら日本人は他人と比較してしまう癖があるのかも知れませんね。上を見ればきりがないですが、自分がNo.1と正々堂々と行って良いのではないかと思います。技術も企業ごとに異なるはずです。もっとあなたの技術を信じて良いのではないでしょうか。

物流/デリバリー品質を伝える

注文すれば、きちんと翌日に届けられるAmazonは本当に驚かされます。その仕組を作り上げた物流会社も相当なノウハウを蓄積しているはずです。消費者として安心してものが届くというのは実は当たり前のことではないのです。比べるまでもありませんが、アメリカは3日後、1週間後に到着など当たり前です。アパートの玄関におかれることは普通のことですし、相当無責任な配達業者も存在します。日本のように短期間で届くことが当たり前なのではありません。またアサヒビールがスーパードライの鮮度を謳っていますが、それも伝える価値があると思います。朝取れ野菜、産地直送などその品質はもっと遠慮なくお伝え下さい。

研究開発にこそストーリーを

昨今の技術の進歩の背景には、研究開発に涙ぐましい努力があったことと思います。身近なスマートフォンに関しては、バブル期の肩から下げるショルダーフォン以来の進歩発展と言えば、どれだけの研究開発が背景にあったことでしょうか。通信インフラや、精密機械の小型化、新素材の開発など数多の人の手が関わっています。まさにどの部分を切り取ってもNHKに放映されてもおかしくないドラマが有ったはずです。あなたの会社の中にもそのような、焦点を当てなければ人の目に触れない研究開発のストーリーがあったことと思います。ぜひそのようなストーリーを多くに語ってください。それこそが知覚品質を向上させる大きな種であるはずです。

希少性を追求する

価値の高いものというのは、希少性のあるものです。ダイヤモンドや手に入りにくいナイキのシューズ、博多でしか買えない博多通りもんなどですね。地方創生とも言われてきましたが、人々は地方の魅力に興味を持っています。また都会だけではなく欧米の旅行客は日本の原風景に興味を持っています。あなたのビジネスにそのような切り口で消費者とコミュニケーションすることはできますか?1つの切り口としてぜひご検討してみてください。

歴史や伝統を活かす

長年愛されてきた商品というものはそれ相応の意味があってのことです。日本人は商品のライフサイクルが非常に短いというのは周知のとおりです。流行に流され、スグに飽きてしまいます。そんな中で商売を継続的に行ってきたことは尊敬に値します。そう感じる人々はとてもいい顧客になりえることでしょう。

過去の事例や実績を伝える

通販のお仕事でよく目にするものは、「〇〇人がご愛用」「タレントの〇〇さんが推薦」などありますが、こちらは消費者が購入に至る際の後押しになります。逆に実績を見せないと購入しない人もいらっしゃいますので、あなたの実力を別の表現として伝えるためにテクニックとして過去の事例や実績をお伝えするということはとても有効な手段です。消費者の心理としては「実績がある」=「経験値が高い」「効果が高い」と感じてもらいやすいことは容易に想像できますね。

賞を狙う

品評会やコンペティションで優勝することができれば、何かと人は信頼しやすい。特に日本人は。モンドセレクションなど多くは日本の商品ばかりですし、どんな商品でも何かしらの賞をとっているようです。誰が審査しているかも不明ですし、今はどうなのかはわかりませんが、審査基準もなかったようです。商売のわからないことはこんな部分です。例えばカンヌ国際映画祭で賞を取るなどになれば本当にすごいのですが、日本の消費者は何かしらの賞に弱いことは事実です。であれば、企業としては活用しない手はありません。

有名人を起用する

あなたが販売したい商品を使うであろう消費者がフォローしている有名人はどんな方でしょうか?つまり理想のターゲットを有名人に例えるとだれでしょう。その方があなたの商品を使うことで、一定のファン層を獲得できるかどうかをぜひ検討してみてください。確かに有名人ともなればコストが掛かるかも知れませんが、ブランドとはイメージ戦略でありますので、フィットするタレントをイメージとしてモデル起用するとファン層へのリーチが可能です。簡単に言えば、人の褌で相撲を取るということです。それもプロフェッショナルに。

何か別のものに例える

例えば、健康食品でどれだけ効果があるかを示すものとして、レタス20個分などといった例えを目にすることがありますが、これらがまさにそうで、(例えられてもわからないかもしれませんが)なんとなく効き目ありそうという印象を残すことができます。特に最近は新しい名前の乳酸菌を始めとした健康食品が数ありますが、よくわからないわけです。それらを簡単にイメージさせるならば既存の何かに例えるという伝え方が最適と言えます。とにかく新しい何かで市場を作りたいという方も多いと思いますが、例える目的は伝わりやすくするためですので、例えとして成立しているものでなければならないのは当然のことと言えるでしょう。

顧客の声を生かす

お客様の声というものは、どの会社も活用されていることでしょう。消費者が等身大で語ることで、これから顧客になろうとしている方にとっては響きやすいメッセージになります。テスティモニアル(証言)広告は、客観性があるメッセージという印象をもたせることができます。誰を起用するかということについては、再度ターゲットを振り返る、または再設定します。

企業スポンサーとなる

レッドブルは、ブランドターゲットがエクストリームスポーツプレイヤーであり、セールスターゲットはまた別であると考えますが、例えば、エアレースやF1レースなどのスポンサーとなることで、各スポーツの力を生かしてブランドを成長させています。栄養ドリンクではなく、エナジードリンクという新しいマーケットを作ってきたわけですが、エナジードリンク=レッドブルというキャラクターを作り上げるためには、関連するであろうイベントなどのスポンサーとなることは効果的です。言い換えるとエクストリームスポーツとレッドブルのターゲット顧客が重なることがあるためにお金を投じているのです。

東京オリンピックを活用しているスポンサーも近い狙いだといえますが、意図が若干異なるのは、こちらのスポンサーは既に多くの名のしれた企業が多いため、消費者のリマインドを狙っているのだと思います。意図することは違えど、スポンサーとなることで知覚する品質と価値は変わっていくわけです。

企業としての考え方やあり方を説く

企業は常に不祥事と隣り合わせと言えるかも知れません。どんな企業にもそのリスクやハザードがあり、社内部へのブランディングというものがとても大切です。ブランドの軸となるものは、企業としての考え方やあり方です。それがなければ、会社としての持続できなくなります。正しい考え方を貫くことは、会社や人としての弱さを排除しなければなりません。会社の哲学を商品・サービスとして消費者に届けることがブランディングの最も重要なアクションなのですが、決して簡単なものではありません。しかし、積極的に発信していく前提で内外のブランディングに努めていただきたいと思います。

プロフェッショナルを伝える

随分前のことですが、「歯科医が通う歯医者」というキャッチコピーがありました。今は色々な所で、色々な歯医者さんが同じコピーを使用しているのを見かけますが、当時は面白いコピーだなーと思っていました。医者が開発した〇〇というのは、消費者にとって大変信頼の置ける商品になるわけです。他にもMBAなどが方が気に入っていると経営に強いのだろうと思ったりするわけです。時間や紙面の大きさなど何かとメディアの制限がある中で、消費者の信頼を獲得するためにはこのような見せ方というものも1つの手段としてはアリですね。

アライアンスを組む

シンプルに言えば、自社の得意でないところは他社と組むという選択があります。一つの会社が全てをできるはずもなく、協業するということはもっと積極的であっていいと思います。開発が強い会社は営業が強い会社と組むべきですし、他力を得るということは非常に重要なスキルです。ユニクロのヒートテックはとても良い事例だと思います。御存知の通り、東レとの共同開発商品ですし、もはや世界中を席巻するほどの商品になっています。日本では同じような商品が2番手として登場していますが、世界ではユニクロ一人勝ちです。

クリエイティブの強化を行う

個人的には非常に大切なことは、クリエイティブの力だと信じています。中小企業でそのクオリティを高めることは難しいのかも知れませんが、私達は練りに練ってクリエイティブを行っています。おすすめは、宣伝会議やブレーンという専門誌がありますので、クリエイターではない方はぜひ色々と情報を仕入れてほしいと思います。クリエイティブは口ではあれこれ言えますが、実際に制作する力がなければ意味はありません。ここでのクリエイティブというものは、高いレベルのものを追求しています。

1〜21を掛け合わせる

今回はそれぞれを別々に活用していくものではなく、どんどん掛け合わせていくことが大事です。消費者の知覚品質と知覚価値を向上させるためには、具体的なアクションがあってのことです。吉野家を筆頭にニクレンジャーというプロモーションが以前ありました。お肉に関連する方々が戦隊を組むというものでしたが、それを実現す21クリエイティブと20アライアンス、そして15なにか別のものに例えるといった複合技で消費者にアプローチしています。このように掛け合わせることでよりクリエイティブでコミュニケーション力が増します。ぜひトライしてみてください。

知覚品質と知覚価値を向上させる手法:まとめ

知覚品質と知覚価値というものは、消費者からの目線であり、企業の思い描いている品質や価値とギャップが生じてしまうことがあるのではないでしょうか。そのギャップの存在を知ることから企業のブランディングは始まります。知覚ライフサイクルコストというお話をしました。商品の値段だけが消費者の意思決定に関与しているのではなく、購入時の手間や購入後のリスクを回避することで、価格を上げる方法があります。

顧客単価を上げるためには、  

1:利益・実証・安心・信頼を伝える
2:成分・原料にこだわる
3:1枚の写真にこだわる
4:職人を登場させる
5:生産地や地域ブランドを活用する
6:製法のこだわりを表現する
7:技術/テクノロジーの高さを伝える
8:物流/デリバリー品質を伝える
9:研究開発にこそストーリーを
10:希少性を追求する
11:歴史や伝統を活かす
12:過去の事例や実績を伝える
13:賞を狙う
14:有名人を起用する
15:何か別のものに例える
16:顧客の声を生かす
17:企業スポンサーとなる
18:企業としての考え方やあり方を説く
19:プロフェッショナルを伝える
20:アライアンスを組む
21:クリエイティブの強化を行う
22:1〜21を掛け合わせる

商売を強く伸ばす一つの手段は、商品単価を高めることは何度かお伝えしました。しかし、企業が消費者とのギャップに気づき、格差を縮める努力をすることで、ブランド価値の向上ができると考えます。ブランディングというものは、消費者の体験から脳みその中に生じる心象です。消費者に知ってもらうという場合にはプロモーションに積極的である必要がありますし、来店促進、購入、リピート、ファン化のそれぞれには、最適な活動があるはずです。上記リストがどの段階に必要であるかは企業毎に異なりますが、選択基準となるのではないかと思います。

バリューゾーンというお話をいたしました。バリューゾーンとは、便益と価格が公正に交換できる範囲です。

1、価格フォーカス市場
2、品質フォーカス市場
3、バリューフォーカス市場

の3つが存在し、更に両極端な市場が存在するものの、何を重要視するかは消費者によって異なります。どの知覚品質・知覚価値の消費者をターゲットとするかしっかりと考えてみましょう。

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